第2章

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俺が所属する営業部第2営業課は、8階の一角を占めている。 人員構成は課長、係長、主任2名、一般6名で計10名になっている。 火曜日の昼から、課長は有給休暇を取っているが、単身赴任で家族を敦賀に残していて、敦賀で原発テロに巻き込まれたのか、連絡がつかない。 主任二人も妻帯者で、神戸から通勤しているのだが、今日は休んでいる。 係長と俺と小津を含む一般職の7名は全員出勤していた。 係長の大林さんは40代だがバツイチで、大阪市内の実家に住んでいて、今日は出勤しており、他の社員と難しい顔で打ち合わせをしていた。 俺が小津を連れて席に戻ると、大林係長はそれを見て、 「おぅ、ちょうど良かった。黒澤くん。今の放送聞いてたろ?課長の代理で会議に出てくれ。」 と疲れ切った顔で、頭を掻きながら声をかけてきた。 課長が昨日の火曜日からいないのと緊急事態の連続で、仕事がたまって昨日は徹夜だったらしい。 一般職6名のうちでも俺は最年長の為、面倒とは思ったが係長も忙しそうだし、さっきまで食堂で油を売っていたという引け目もあったので、頼みを引き受けて、やむなく会議室に向かった。 会議室は5階にあり、エレベーターで向かおうとエレベーターのボタンを押した瞬間だった。 突然全館が停電し、真っ暗になった。 すぐに非常用電源に切り替わり、復旧したが、エレベーターに乗るのが怖くなった俺は、非常階段で、会議室に向かう事にした。
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