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話は此より4年程遡る。
明治6年の春。
江戸幕府公認の遊廓街…売春行為が行われていた為、多少語弊や相違があるが、現代で言う風俗店が軒を連ねる街『吉原』の仲之町。
大通りのど真ん中、格子に囲われて樹に傷が付かないようにと大事に手入れをされた大きな一本の桜の樹の側にある、一見歓迎の小見世(こみせ)『桜花楼』
廓。遊廓と言うところは現在のネオン街…銀座のクラブや歌舞伎町のキャバクラよろしく、初めて来た客でも気さくに遊女と遊べる『小見世』から、遊女と遊ぶまで何度も足を運び、見世(みせ)にお金を落とさないと遊ばせてもらえない高級見世(大見世)と、正にピンからキリまである。
銀座と歌舞伎町を同義のように例えるなと言う声もあるだろうが、あくまで『女性が男性客に大人のサービスをする』と言う大まかな括りでの例えなので、ご理解頂きたい。
廓遊びの手順は様々だが、基本的には客が遊女を選び、遊女は廓の自分の部屋に客を招き、食事を採りながら三味線や唄に踊りと座敷遊びを堪能した後、交接…いわゆる性的行為に移る。
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