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登楼して直ぐコトに及びたいならば、最下層…正に『売春街』に相応しい、羅生門河岸(らしょうもんかし)と呼ばれる地域の長屋女郎などだ。
長屋は、いわゆる平屋…一階建てワンルームが、壁一枚に仕切られ連なっていると想像してもらえばいいだろう。
したがって、客が戸を開ければ直ぐに寝間があり、遊女が出迎え、一回5文という明朗会計で直ぐに性的行為を行える。
性的行為の本番を除けば、現代で言う『ピンクサロン』や『デリバリーヘルス』に近い。
が、現代の『風俗街』と『遊廓』で決定的に違うのは、働く女達の『境遇』だ。
現在なら、スカウトや自分から売り込み働く。嫌なら、事情ができれば辞める辞められると、いわゆる選択権がある。
当然、稼いだお金も自分のものになるし、なにより避妊に対する意識が高い。
しかし、吉原は違う。
地方の農村部や貧乏武家や公家の娘が、借金のカタに女衒(ぜげん)と言う仕入れ人によって吉原に連れていかされ、器量によって売り買いされる。
美人なら見世が金を上乗せして買う。
不器量なら見世は散々女衒から値切って渋々買う。
目の前でそんな光景を目の当たりにしながら、売られた娘は借金が返済されるまで身体を売る。
辞めようなどと考えれば、見せしめのような折檻をされ、酷い場合は1ヶ月近く食事も与えられずに、薄暗い部屋に閉じ込められる。
客を選べるのは、前述した高級見世の女だけ。
他の女に選ぶ権利などない。
外出も当然禁止。
見習いの内は、先輩遊女達の世話の他に、三味線に舞にと稽古漬け。
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