スベテ

2/2
前へ
/131ページ
次へ
ふとあの人を見ると   僕に向かって微笑んでくれた   あの人が落ち込んでたから   月の光の中   手を繋いで歩いた   優しいねって   ごめんねって 悲しそうな顔をした   涙が溢れそうだった   僕は優しくない   だから謝らないで   優しく微笑まないで   あの人を知れば知るほど   自分が汚く見えて   全てを話してしまいたくて   何も知ってほしくなくて   距離を   おこうと思った   離れられなくなる前に   なのに   また悲しそうな顔をする   泣きそうな顔で自分を攻める   違うのに   悪いのは僕なのに   あの人を苦しめることしかできないなら   いっそのこと消えてしまおう   少しの間   泣かせてしまうけど   いずれ忘れてしまう   いつか忘れて   本当にあの人が笑えるようになれば それだけでいい   あの人が笑えるなら   少しの苦痛も   悲しみも乗り越えられる  
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加