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「竜って来ねえの?」
「来ねえよー。竜ちんはねえー、先約がありまして無理でした」
「珍しいじゃん。お前と竜がセットじゃねえの」
「ちょっとー人をお買い得みてえに言わないでよ! そりゃ、竜がいたらいいとは思うけどさ、竜は今ダイジーな彼女さんとらぶらぶしてっから、さすがにそれは邪魔できねえもん」
俺、物わかりよくね?って、タケに問いかけたのに当のタケは目をまん丸くしてアホ面を晒してた。ついでにその隣のアッチャンもアホ面。アホ面のパレード。ケンケンは元からアホ面!やーい!バーカ!
「え……竜って、彼女いんの?」
アホ面タケが恐る恐るって感じで聞いてくる。ああ、それで驚いてたわけね。竜ちん秘密主義だからねえー。だが、それも今日までの話。ソーリー!ばらしちった!
「うん! いますことよ!」
「マジで!? 知らなかった……」
元気よく頷いたらタケは、信じられねえっつー顔してた。まあ、無理もねえよ。ことごとく女子の皆様からの告白を断ってきた竜だもの。噂じゃ、特定の女を作らずに遊び歩いてるーなんてあったりして。そんなわけねえのにね!
ケンケンはもう知ってるから平気な顔してっけど、アッチャンとタケはずっとぶつぶつ言いながらアホ面をさらしてる。
「あの竜がなあ……ダメだ、想像つかねえ」
そんなに不思議なことかねえ。まあ、俺も昔は君たちのように驚いていたけどさ。
竜の彼女の話題で盛り上がりつつ、目的地の展望台に向かう。話しながらだと多少は寒さを忘れるけど、やっぱさみーもんはさみー!
手袋わすれたっつーか、持ってねえから、ヌードな手のひらは寒さで真っ赤っかになってる。
そんでもって、空は青白くなってきて、あれ?日の出でてねえ?的な空気。
「なあ、あの空の光ってなんだと思う?」
「んー、サンシャイン?」
「正解」
よっしゃ!ケンケンクイズに正解!
っつーことで、俺らは展望台に登ることなく今年初の太陽の光を浴びたわけです。初日の出ツアーはグダグダになって、結局、今年初の朝モックしようぜってことに変更。なにごとも臨機応変が大事なのさ!
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