さみしくなんかないやい

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 家を出たときには暗かった空もすっかり青白くなって、光が、こう、キラキラ!ってなってんだけど。だからって暖かいっつーわけでもなくて、やっぱ寒いもんは寒い!  早く帰ってあったかい布団かコタツにもぐり込みてえなー、とか考えながらブラブラ歩いてたらちょっと前の方で騒いでる声が聞こえた。 「どいてよ!」 「は? 自分からぶつかっといて謝らねえ気かよ」  なんか女の子1人を3人の男が囲んでる。会話的に悪いのは女の子の方?ウーン。何があったか見てねえからわかんねえや。  その様子を横目で見ながら、丁度横を通り過ぎようとした時、1人の男が女の子の腕を掴んだ。 「触らないでよ! 汚い!」 「んだと? テメエ、調子乗んなよ!」  女の子ちょう抵抗。そしたら、男の方が怒って腕掴んだまま女の子を道に倒した。ドサ!って転ぶ女の子。うわ、いたそー。  …………。  まあ、アレだよね。たかだか汚いって言われたくらいで女の子に暴力はいけねえよ。  思わず立ち止まって、ガン見。女の子も男共もケッコー近くにいるのに俺には気付かねえ。 え?俺そんなに存在感ない? 「オラ! 立てよ!」  自分で倒しときながら、なんつー勝手な言い分でしょ。なんかチャラそうな感じのヤツが、立ち上がろうとした女の子の頭に手を置いて後ろに押した。オニイサン言ってることとやってることちげえよ?
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