押したスイッチ切らないで!

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「あんたまだ帰んないの?」 「んー、そろそろ帰ろっかなーって思ってたとこ。片岡チャンは?」 「あたしも、帰ろうかなって思ってたとこ」 「そっか」  ダメだな。落ち込みすぎてふざけたことがあんま言えねえ。いや、別に言う必要ないんですけどね。ボクとしてはここで一発何か言っときたいわけですよ。わかんねえかなー、このポリシー。  あーあ、帰って何しよっかなー。ヒマだし。TETSUYAでも寄って帰ろうかなー……あの道だったら、学校帰りの千秋に偶然会うかもしんねえし。  なんて考えながら立ち上がって、机の上に置いてあったしまうまふらーをぐるんぐるんと首に巻く。よぼよぼ、じゃなくって、よれよれの軽い鞄を肩にかけて帰る準備万端! 「帰んの?」 「おー。あ、片岡チャンも一緒に正門まで行く?」 「あんたと?」 「そうそう、俺と! 嬉しいっしょ? 正門まで人気者の由貴チャンを独占ですよ?」 「……バカじゃないの」 「またまたー、嬉しいくせに! 素直じゃねえなー!」  なーんて軽口を叩きながら、教室を出る。片岡チャンはしぶしぶって感じの顔で後をついてきた。なんですか、その顔は!そんな嫌がんなくってもいいじゃんよー。  ゆっくり歩きながらあんま人がいねえ廊下を歩く。窓から外の様子が見える。  ただ今の空の様子は……雲ひとつない天気で、全体的にオレンジ色に染まっています。地面も歩いてる人もビルも家もオレンジ。ゆき子!今日のおやつはオレンジジュースよ!それだけ!?すくねえよ!ってな感じで、ちょっと切ない雰囲気が漂っておりますね。  ……とか、考えてみたり。千秋に言ってた空の解説がちょっとクセになってる。  俺が言ってる空の解説を嬉しそうにっつーか、楽しそうな表情で聞いてる千秋を、ゆっくり歩きながら少しだけ後ろを振り返って見んのが好きだった。  もう、言うことねえのかなー。ネガティブシンキング岡本登場。  そうやって、グダグダ考えながら廊下を歩いて、階段を降りて、下駄箱に到着。あ、なんも喋ってねえや。片岡チャンに悪いことしちゃったな。  下駄箱で上履きを脱いで、靴を取り出してると、少し離れたとこで靴を履き替えていた片岡チャンが声をかけてきた。
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