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なんでかちょっと機嫌が悪くなった片岡チャンの隣をヘラヘラ笑いながら歩いた。結局片岡チャンとは、正門を出たとこでバイバイ。帰る側反対だしね。TETSUYAに寄らないんだったら、帰る方向一緒なんだけど、今日はやっぱなんかすぐに帰る気分になんなくて、片岡チャンの帰る方向とは反対の道を歩いた。
スイッチ、か。
千秋本人に自覚がなくっても、千秋に押されたスイッチは千秋じゃねえと操作は無理で。スイッチ切るってことは要するに俺がフラれるってことだよな?だったら、スイッチは切って欲しくねえな。切ることより、スイッチを押したことに気付いて欲しい。そんで、出来れば俺に千秋のスイッチを押させて欲しい。
なーんて。夢のまた夢な話。
両手をブレザーのポケットに入れて、ちょっと視線を下げてオレンジ色の道を歩く。
フラフラと歩いてると、横をブッサイクな犬を連れたジイサンが通り過ぎて、その後、中学生らしきオトコノコとオンナノコがチャリを2ケツして通り過ぎてった。
こらこら、君達、チャリの2ケツしちゃだめなんだよー。オニイサンうらやましくなるから、マジで降りろ。キャッキャッと話しながら遠くなってく光景に溜息。なんだかな。
それからいつも以上にぼんやりとした頭で視線を下げたまま歩いてると、視界の端、少し遠くの場所に見慣れた後ろ姿を見つけた。
うっそ……。
それに気付いた瞬間、バッと顔を上げて、しっかりとその姿を視界に入れた。
キャラメル色のブレザーと赤いチェックのスカート。黒色ソックスに同じ色のローファー。ちらちら見える、杖。
……千秋だ。
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