押したスイッチ切らないで!

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 会いたくてたまんなかったその後ろ姿を見た瞬間、なんか、こう、グワッてこみ上げてくるもんがあった。ちょっと、リアルに泣きそうになって、ビビる。  どうしよう。いや、話しかけりゃいいんだけど。  なんて?なんて、声かけたらいいんだろ。  久しぶり?  なんかちげえな。てか、すげえ嫌な顔されたらどうしよう。いや、そんなの慣れてるんだけど。立ち止まって、無駄にテンパってあわあわってなる。  そうしてると、ドンドン千秋が遠くなって。迷ってる場合じゃねえだろ!っつって、自分に渇を入れてから、千秋の後ろ姿目指して走った。  近付く後ろ姿に、なんて言うんだろ、愛おしいっつーのかな、そんな気分になる。うわ、なんだこれ、マジで泣きそう。  腕を伸ばせば触れられる距離まで近付いて、走ってた足を一旦止めてから、深呼吸をした。それから、すぐに足を踏み出して、声をかけた。 「……千秋?」  うわ、だせえ、声がちょっと裏返った。  恐る恐る声をかけると、千秋は俺に気付いたみたいで、肩を小さくピクリと震わせた。これは、嫌がられてるってわけじゃねえよな?つうか、そう願いたい。  千秋は一瞬だけ足を止めたけど、俺の呼びかけてに返事をせずにまた足を踏み出した。無視、ですか……へこむ。  でも、へこんでる場合じゃない。電話も出てくれねえのに、今を逃したら、大げさかもしんねえけど、二度と会えなくなるような気がして。気付いたら、腕を伸ばして千秋の手を取っていた。 「千秋! 待てって!」 「!!」  千秋はそれに驚くと、また立ち止まってすげえ勢いで俺の手を振り払った。正直、すげえ傷ついたけど、それでも諦めらんなくて、どっか行かないようにブレザーの腕んとこを握った。振りほどかれそうになったけど、それより強い力で握る。  千秋はまだ前を向いたままだから、表情がわかんねえ。立ち止まったまま俯いてる。なんなんだよ、なんで俺のこと避けんの?わかんねえよ。
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