4725人が本棚に入れています
本棚に追加
「……あたし、ゲームセンター楽しかったの」
「へ?」
なぜに、今ゲーセンの話?え、ゲーセン行きてえの?千秋の言いたいことが全くわかんなくて、対処に困ってると、千秋はそんな俺なんてお構い無しに言葉を続ける。
「カラオケも、野球も、楽しかったの」
「…………」
「岡本が連れてってくれた場所は、全部楽しかったの」
「…………」
「それは、あたしだけじゃ、ない?」
「…………」
「岡本も、たのしかった?」
「……千秋」
千秋はポツリ、ポツリといつもよりどこか幼い口調でそう続けた。どうして、千秋がそんなこと確認してんのかわかんなかったけど、すごく不安そうにしてんのはわかった。
なんかもう、3日連絡取れなかったこととかどうでもよくなった。
「…………」
「楽しかったよ」
「…………」
「ゲーセンとか野球とか、俺も全部すげえ楽しかった」
「……うそ、じゃない?」
「なんでウソつく必要あるんだよ。ウソじゃねえって、マジで楽しかったから」
「……面倒、じゃない?」
「ないないない! それはないって。なんで楽しいのに面倒とか思うんだよ」
「…………」
それからまた黙ってしまった千秋を少し屈んだまま、見つめる。俺が一緒に楽しんでねえって、嫌々遊びに付き合ってるとか思ってたんかな。そんなこと疑う必要ねえのに。やっぱ、見えてねえと、そういう風に不安になったりすんのかな。
最初のコメントを投稿しよう!