トモダチに許されないこと

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 ……つうか、いつまで俺と千秋は「トモダチ」なんだろ。この調子じゃいつまで経っても「トモダチ」のままな気がする。だってアレじゃん、ゲーセンとかモックとかファミレスとか、なんつーの?千秋にとってみれば別に俺じゃなくてもよくね?みたいな。  トモダチとカレシって端から見るだけじゃ、あんま違いがわかんねえけど、決定的な違いがある。と思う。カレシはトモダチの代わりにもなれるけど、トモダチはカレシの代わりにはなれない。  今は電話出来る事とか会って遊べることとかすげえ楽しいけど、もし、もし万が一、千秋に好きなヤツとか出来たら俺ってどうなるんだろ。そうなる前に、俺の気持ちを気付かせたほうがいいんかな、とも思うけど。自信ねえし。あーあ、なんか複雑。  千秋と会うのはすげえ嬉しくて、楽しいのに、同時になんか苦しい。好きだっつったら、トモダチの関係も同時になくなんのかな。  振られたら、スイッチ切られたら、トモダチとして一緒にいんのも許してくんねえのかな。自信のねえ俺はすでに振られること前提で、せめてトモダチとして一緒にいれるだけマシなのかも、なんて情けねえことを考えた。  トモダチからカレシに昇格したくて、それを相手に伝えんのはすげえ勇気がいるんだろうなーなんて思ったりして。遊ぶときは、セーターじゃなくって、手繋いで歩きてえな。  でも、それはきっとトモダチとカレシのボーダーライン。  なーんて、ちょっと暗いっつーか重いことを考えてから、もう一度溜息をついた。うん、そんなこと考えても仕方ねえし。とりあえず、今日の放課後のことを考えてテンション上げとこ。  今日は、どこに寄り道をして帰ろっかな。  どこだっていい。だって、大事なのは場所じゃないっしょ?
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