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家の中にはルークが壁にもたれかかるように立っていた。
初めて会った時と雰囲気が変わっていた。
服装が違うからだろうか、知らない相手なら話かけないだろう。
「ルージュ、遅えよ」
睨みつけるようにルージュに冷たく放つ言葉は何処か怒りに似た黒い影があった。
「…キリト行きましょう」
ルージュはルークの前を通り奥の間で待つ長の所へと急いだ。
ルークもその後に続く。
長が待つ部屋には食事が用意されていて食事を勧められ里の事などの話をした。
「この里は他の者には見えんよう施しをしておる。まぁそなたなら簡単に来れたろうな」
意味深な言葉を何度も放つ長に躍らされている感じを受けた。
「…ルージュ…ルーク、そなたらは少し席を外してくれぬかな」
「…わかりま…」
「ふざけんな。いい加減にしろよなジジィ。里から出れば術のせいでルージュと離れられないようにしたうえ自我も持たせないようにしやがって」
ルージュの素直な答えを遮り、ルークは胸に秘めていた怒りをぶつけ始めた。
ルークとルージュは双子として産まれたが、共に好みも仕草も合う事はなかった。
しかし、エルフに会い里に来たら外に出る事を禁じられた。
「なんなんだよ!脱走した時のアレは!なんで俺らは外であんなことになるんだよ!!」
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