317人が本棚に入れています
本棚に追加
/130ページ
(4)
外で待つことになって5分もしないうちに、長岡刑事を先頭に蓮實と法村が病室から出てきた。
今、病室には久家灯馬と柊が二人きりという形になる。
桔梗明日香は中の様子が気になって仕方がなかったが、國枝の興味はむしろ法村の方にあった。
「いらしてたんですか」
國枝の視線に気付いて法村が言った。
「えぇ、、、まぁ、来てました」國枝は少しだけ動揺してしまう自分に気付く。「法村さん、良かったら少し二人で話せませんか?」
「國枝。知ってるのか?」國枝の提案に横槍を入れたのは蓮實水明だった。
國枝は苦笑いを浮かべると、ちらりと法村を見た。法村はその視線を受けて、コクンと頷いて蓮實に向けて言う。
「はい。國枝くんは、大学の時からの知り合いでして」
「“大学の時”?」
法村が適当な嘘をついた。
しかし、蓮實水明に取っては不自然なフレーズである。
國枝知草は現在、大学生なのだ。
「お友達でしたのね」香坂が直ぐに助け舟を出す。「二人で積もる話しもあるんじゃなくて?」
蓮實は怪訝な顔をしたが、國枝はそれを無視して法村とその場を離れて行くことにした。
最初のコメントを投稿しよう!