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柊と蓮實は連れ立ってパトカーへと歩を進める。
二人に気付いたのか長岡が運転席から降りて来た。
「2分程、待ちましたよ。柊教授」長岡がニヤリッと笑う。
「2分?」聞き返したのは蓮實だった。
「僕が15分で行く、と言ったからね」柊は蓮實に言う。「蓮實に会って話しながら歩いたら、ここまで17分かかったよ」
「成る程、俺のせいで2分遅刻という訳か」蓮實が長岡刑事を見ながら言った。「それは悪いことをしたね、刑事さん」
蓮實が悪びれる様子もなく淡々と言った。
長岡は「お気になさらず。呼び付けたのは私ですから」とパトカーを指す。
「長岡さん」柊が言った。
「なんでしょう?」長岡が笑みを浮かべたまま言う。
「僕ら食事がまだなんです」
柊の言葉に蓮實が頷く。長岡はパトカーの後部座席のドアを開けながら答えた。
「実は私もまだなんです」
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