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「事故じゃない?」柊は眉を潜めて長岡に聞く。
「恐らく」長岡はゆっくりと頷いた。「詳しい内容は教えられませんが、炎のマジックに何か細工があったのでは、と上は見ています」
「それで俺達に、どうしろと?」蓮實が肩をすぼめながら言う。「タネなんか解らない。だから、“奇術”だろう?」
「ごもっとも」長岡はまた同じ動作をした。「しかし、手掛かりがない訳じゃない」
「“手掛かり”?」柊が聞いた。
長岡は頷くと、おもむろに写真を取り出す。
それを柊と蓮實の調度間に滑らせる様に置いた。長岡がその動作を終えると二人は写真を覗き込む様にみる。
「これは?」蓮實が言う。
写真には包帯を巻いた女の子が一人写っている。その表情はどこか虚だった。
「実は、その子。次の“椚カルラ”なんです」長岡が顎を撫でる。「つまり、久家数馬氏のご息女と言う訳です」
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