嗜好・思考・至高

16/27
前へ
/130ページ
次へ
     國枝の嘘に香坂はなんとか平静を装うことができた。  お互いにそれほど長い付き合いではないものの、何となく意図するところが解ったのだ。    國枝知草はこの法村から何か引き出そうとしている。     「“教官”ここではなんですから、どこか場所を移しませんか?」香坂がすぐに提案する。   「学内の喫茶店にしましょ」明日香も助け舟を出した。    何故助け舟なのか、それにはちゃんとした“理由”がある。     「そうしましょう。法村さん、でしたね?よろしいでしょうか?」國枝が笑顔を作る。    三人の連携に法村は、はい、と頷くことしか出来ずに後に続いた。      三人は何故か奇妙な確信を得ていた。  この法村という男は“椚カルラ”と何らかの接点があるに違い。そして、“柊小次郎”にも。    やがて四人はK大構内の喫茶店に入ると自然に4人は奥の席を選んで座った。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

317人が本棚に入れています
本棚に追加