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「つまり、、、」
國枝の語調が荒くなる。
「柊教授が“椚カルラ”を殺した。と?」
國枝の言葉に明日香と香坂は息を飲んだ。
「いえ、そうではありません」法村は首を振る。「、、、ただ、何を話したのか知りたかったんです」
「話した内容によっては、先生が原因になる」明日香が目を細めた。「でも、先生が人殺しなんて有り得ない!あの時だって、一緒にいたんだから!」
明日香が声を上げて立ち上がる。香坂はすぐに肩に手を回して支える様な形をとった。
「僕も、柊教授が殺したなんて思ってません。ただ、、、」法村が目を伏せる。
「、、、ただ?」國枝が先を促した。
「師匠と最期に話した外部の人間は、間違いなく柊教授だけなんです」法村が強い意志を持った瞳で言う。「、、、だから、なにかの手掛かりになればと思って伺ったんです」
「法村さん、あなたはこう言いました。最期に話した“外部の人間”、、、と」國枝が珈琲を一口含んだ。その味はブラックなのに甘い。「柊教授よりも話を伺う相手がいるようです」
國枝は法村と柊。そして“椚カルラ”に強い興味を引かれていた。ここで引き下がるつもりはもはやない。
(真実を知りたい!)
國枝は逸る気持ちを何とか御して冷静を努めた。
「まずは、“内部の人間”があなたの他に何人いるのか教えて下さい」國枝は優しい口調で言う。
「僕の他には一人だけ」法村が首を振りながら言った。「それも、怪我をされたお嬢さんだけです」
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