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「じゃあ、何が言いたいんですか?」國枝が考える様に言った。
「そうだな」柊は珈琲を一口含む。「甘い珈琲の飲み過ぎは良くない」
「何故?」國枝は柊の口まねをした。
「珈琲の起源は1000年前に遡ると言われている。エチオピアが発祥地だったかな」カップの中を見ながら柊は続ける。「アラビアの文献には薬として紹介されている。16世紀から焙煎技術の向上と供に発達していった」
講釈が始まった、と國枝は思った。
「最初に珈琲を飲んだ人間はどう思ったろう?」柊が國枝を見る。
「苦い。って思いましたよ。多分」國枝が仕方なく答えた。
「じゃあ、珈琲はなんで苦いと思う?」柊は國枝に聞いた。
國枝は少しだけ考えてから答える。
「珈琲が苦いのは焙煎によって新しい苦味成分が形成されるからで、カフェインのせいじゃないんですよね?糖類のカラメル化、有機物の炭化が主な原因で、中でもキナ酸が最も苦いと言われてます」
國枝は持てる知識を柊にぶつける。
柊は「よく知ってるね」と素直に感想を述べた。
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