曖昧なショーで逢いましょう

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    「いや~結構飛ばしましたなぁ」長岡刑事がウインドウを開けながら言った。   「“免停”かい?」蓮實が言う。   「いやいや」長岡は笑顔のまま首を振る。「“免取”ですよ」    長岡の言葉に蓮實は肩をすぼめて、奥に座る柊を見た。柊は眉を上げて顎に手を当てると、その手で長岡を指差す。     「交通課じゃなくて刑事課で良かった」    柊は下手くそだと自覚していたが、冗談のつもりで言った。咄嗟に出てきたのはこれくらいしかなかった。
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