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「失礼します」
そう言って長岡が病室に入る。
病室は久家灯馬だけの為に用意された個室のようだ。
柊と蓮實が長岡に続き、明日香たち三人は入る事を許されなかった。
真っ白なベッドは、中央よりも少しだけ窓よりで、その窓から見える景色は病院の中よりも閑静に思えた。窓の前、つまりはベッドの脇に、あの日柊が出会った法村俊弥が腰掛けている。
稼動式のベッドが45°位の角度で固定されていて、そこに身を預ける少女がこちらを見た。
「ご機嫌よう。刑事さん」少女が言った。透き通る様な声だ。
「気分は如何ですかな?」長岡刑事が顎を撫でながら返す。
「えぇ、今日はすごくいいみたい」久家灯馬が両の指を合わせて言う。その仕草は誰が見てもほほえましいものだ。
「こちらは、K大学の--」
「あなたが、、、柊小次郎」
灯馬が柊を指差す。
柊は何も言わずに頷いた。
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