曖昧なショーで逢いましょう

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     (5)     「結局なにも解りませんでしたね」    桔梗明日香がファミリーレストランのメニューを見ながら呟く。  その言葉には誰も反応しなかった。    時刻は19時を少し過ぎたあたりで、長岡刑事に送られ市街で降りた面々は夕食を取ることにしていた。  全員が喫煙席に座り、柊は1番奥を陣取っている。  蓮實はその向かえに座って携帯電話をいじっている様子で、その隣に座る國枝はつまらなそうにメニューを見ている。     「何も、、、という訳じゃない」    しばらくしてから柊が明日香の言葉に応えた。     「何か解ったんですか?」直ぐに桔梗明日香が聞いた。   「あれは“事故”じゃない。誰かが“故意に起こした殺人”だ」煙草の煙を吐きながら柊が言った。「残念だけれど」   「そんなこと、最初っから解ってましたよ」明日香が言う。「先生が認めていなかっただけで、みんな解ってました」    言い終えて明日香が皆に視線を移す。それぞれ思い思いに明日香に視線を返した。
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