曖昧なショーで逢いましょう

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    「僕が知りたいのは、久家先生が死ぬ必要性についてだ。“最終試験が師匠を殺すこと”で、一体何を得るんだろう?拳法の最終奥義かい?どう考えても合理的ではないね。もしバレてしまって捕まりでもしたなら、“椚カルラは終わってしまう”んだから」   「見つかる様なトリックなら滅びるもやむなしってことじゃないんですか?」國枝が直ぐに反論した。柊に相対する為のシュミレーションは何度もしていたのだ。   「現にもう見つかっているだろ」國枝に答えたのは蓮實水明だった。背もたれに身を預けてなおも続ける。「俺達みたいな素人集団に看破されるような未熟者に“私を殺せ”なんて覚悟の台詞。お前は言えるのか?」   「それは、、、」國枝が目を伏せる。   「そうなると、怪しいのは法村俊弥の方だな」蓮實が続けた。「國枝(お前)に情報をリークして久家のお嬢ちゃんに目を向けたかったんじゃないのか?」   「確かに。それであれば、國枝くんが聞いたという話にも信憑性が増します。真実であればあるほど、久家灯馬さんが怪しくなりますから」香坂も蓮實に同調する。   「そんな!」國枝は堪らず声を上げる。「法村さんは、そんな人じゃありません!」    國枝は自分が招いたこの展開が面白くなかった。自分が否定される感覚を拒絶したくなる。     「“そんな人じゃありません”」蓮實がニヤリッとして繰り返した。「法村俊弥の狙いは案外“それ”かもな」
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