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「和美……どうしたのかしら」
焜炉に弱火で火にかけている鍋からはグツグツとカレーを煮込む音が、廊下の方からは風呂場で良太がシャワーを使っている音が聞こえる。そんな音を聞きながら私はひたすら和美からのメールを待っていた。
また旦那さんに暴力を振るわれているのだろうか……?
あまりに心配で携帯の液晶画面とにらめっこをしていると、着信を伝えるバイブが鳴った。
急いでメールを確認すると、それは何よりも願っていた和美のメール。
【返事返せなくてごめん小織。渉が早く帰って来ちゃって、またアタシを殴るの……。
もう嫌。あんな奴殺してやりたい!】
私はすぐに返事を書いた。
【ねえ和美? メールの中でならいくらでも殺せるわ。
和美ならどうやって旦那さんを殺す?】
送信ボタンを押す。
和美の為……というよりは私の為の提案だったのかもしれない。しかしこの時私は、その提案の恐ろしさに気付いていなかった。
【アタシなら、それが誰なのか分からないくらいめった刺しにしてやる】
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