4.遊びの向かう先

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 あれから一ヵ月。  私と和美の遊びは思いの外長続きしていた。あの遊びを思い付いたのは偶然だったけれど、今にして思えば簡単にストレスを発散できる有効的なものだと思う。  だってよく言うじゃない? 『思うだけならタダ』  それと同じよね、だってメールの中で自分ならいかに殺すかって考えてるだけだもの。テレビゲームのしすぎで人を殺してもリセットできるなんて思ってないわ。  たとえそれが普通じゃないんだとしても、実行しなければ何の問題もないわよ。そう、実行しなければ――。  でも私は和美の変化に気付いた。それはたいしたことないのかもしれない。でも気になる……。 「あ、またメールがきてる」  今は深夜1時。  この遊びを始めた頃は、和美が暴力を振るわれる度に送ってきた程度だから、一日に一回か二回くらいだった。でもここ最近、その頻度は増える一方だ。今日なんてこれで二十三回目。  しかも和美の提案で、遊びの方向性を変えてから増えた気がする。  初めに私が提案したのは、私がストーカーである孝史を、和美が暴力を振るう夫の渉を殺す方法を考えて遊ぶというもの。  でも今はその逆、つまり私が渉を、和美が孝史を殺す方法をメールに書いて送っている。
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