4.遊びの向かう先

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「か、和美……?」  明らかにおかしい――。  フォルダを開くのが怖い。でも見ないともっと恐ろしいかもしれないよね……?  震える指でボタンを押してフォルダを開く。それはあまりにも異常で、私は目を疑った。 【01:04 考え中♪?  01:12 小織ー?  01:15 小織ってばー  01:19 寝てるの?  01:22 起きてー  01:28 返事ちょうだい♪  01:34 返事まだぁ?  01:37 返事は?  01:41 早くー  01:49 殴られた……  01:52 ねぇ、まだなの?  02:00 早く返事しろっ!】  一時四分からのメールを一つずつ確認した。  午前二時に送られて来たメールからその口調が一気に変わる。怒鳴っているであろう言葉。だいたい十分以内にメールが送られて来てる。  そんな感じでひたすら続く和美からのメール。最後のメールは『眠い』と一言だけ書かれているだけで、たぶんこれで寝たのだと思う。  私は急いで返事メールを書いた。 【ごめんね和美! 昨日寝ちゃってたの。電源も切ってたし、ほんとごめん!】 意外にも和美からの返事はすぐに返って来た。 【こっちこそごめんねー。昨日はいつもより長いこと殴られてイライラしてたのよ! メールのこと気にしないで】  私はホッとしてこの日も普通にやり取りしていた。和美も変わったところもなかったし、本当にただただ普通の平和なメール内容だった。  でも私は昨晩送られて来た和美からのメールが恐ろしくて、とりあえずフォルダ内のすべてのメールを削除した。もちろん私が送ったメールもね。
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