5.思わぬ方へ

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 その返事に満足したのか、和美はそれからテンションの高いメールを何度も送って来た。  私の書いた遊びメールのうちどれが気に入ってるとか、これはいけそうだとか……。私はそう? とかありがとうとかそんな感じの短文を返すばかりだった。  夕方になり、私と良太は裏口に回って家を出た。もちろんリビングや廊下、キッチンなどの照明は点けたままで。今日は土曜日、外食する日だ。  家を出る前に、これから外に食べに行くからメールの返事は帰って来てからにすると和美にメールを入れた。  私と良太がやってきたのは寿司屋。家からずいぶん遠いけど行きも帰りもタクシーだから心配はない。  まぁ、孝史に見つからないように少し離れたところで下りて家に戻るのだけどね。今まで見つからなかったんだから大丈夫だと思うし。  寿司屋のカウンターに座って、私と良太は好きなネタを注文しては他愛ない会話をする。家の中では孝史に聞かれているようで怖くてまともな会話はしていない。主にメールか筆談。  そんな私に飽きもせずよく我慢してくれているな、と良太にはとても感謝している。
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