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ひたすら美味しい寿司を食べて次に向かったのは飲み屋だ、これは月に一度の楽しみ。良太は私のために会社の同僚や上司の誘いを断って早くに帰って来てくれているの。
だから月に一度は二人で飲みに行こうと約束していた、それが今日。
私たちは寿司屋を出てすぐ近くにある駅ビルに徒歩で移動する。徒歩でたったの五分。駅ビルに入った私たちは、駅ビル内ではけっこう旨いと評判のホルモン屋に向かった。
行ってみたら混んでいるようで、店の外に並べられた順番待ちの椅子には、三組ほどすでに腰掛けていた。
「期待できそうだね」
良太の言葉に頷き、私たちは椅子に座って自分たちの順番を待った。
「すっかり遅くなっちゃった」
私が酔って真っ赤な顔をして言うと、これまた真っ赤な顔をした良太がへらっと笑ってそうだねぇとごにょごにょ言った。
駅ビルを出た私たちは、すぐ目の前にある大通りで乗客待ちをしていたタクシーに乗り込んで行き先を告げる。
「着きましたよ、お客さん」
そんな運転手の声に、ウトウトしていた私と良太は恥ずかしさから苦笑いをした。料金を払ってゆっくり慎重に家の裏口に回る。
ここにたどり着くには他人の家の庭や裏を通らなければ行けないんだけど、その旨は伝えてあるので静かにさえしていれば怒られることはない。
無事に家の中に入り、さっさと寝てしまいたいのを我慢して各部屋の照明を消した私は、着替えを済ませてそのまま良太と布団に入り眠りについたのだった。
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