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翌朝私が目を覚ますと、目覚まし時計は午前六時を少し回ったところだった。昨晩は深夜二時過ぎに帰宅したのに何故こんなに早く起きたのだろう?
ふと眠い目を擦ってベッドから起き上がると、寝室の窓に赤い光がチカチカと何度も照り付けてくるのが見えた。そこは住宅街の道路に面する窓で、いつも孝史が家の中を窺っている道だ。
「何かしら……」
私は恐る恐る窓際に近付いてそっと表を見つめる。そこにあったのはパトカーだった。
「良太っ! 良太起きてっ」
私は急いで良太のもとへ行きその肩を揺する。するといつもなら起きない良太が、私の震える声に反応したのかすぐに目を開けた。
「――――どうかしたのか?」
眠そうな目を一生懸命に開きながら私の肩に手を乗せる良太に、私は早口で呟く。
「表にパトカーがきてるのっ。何かあったのかって心配で……」
良太は暫く窓際に行って外の様子を窺っていたが、よく見えないなと呟いていそいそと寝室を出て行く。私もとりあえず玄関まで着いて行き、良太を見送った。
暫くして慌てた様子で良太が戻って来た。
「何か分かった……?」
私が聞くと良太は小さな声で外を気にしながらその状況を告げる。
「た、孝史が死んでるっ!」
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