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“孝史が死んでる”
「え?」
私は頭を鈍器で殴られたような感覚を覚え床にペタリと座り込む。そんな私を心配して良太が大丈夫かと尋ねながら隣に腰を下ろした。
「交通事故みたいなんだ」
「――――!?」
自分の耳を疑った。
まさか……まさかと心の中で繰り返し呟いたけど、良太の表情は固く嘘をついているようには見えない。私は嫌な予感を拭い去れずカタカタと全身の震えに身を任せていた。
――ピンポーン…………
チャイムが鳴った。
玄関の扉を良太が開ける。そこに立っている人物は警察官で何か良太と話していたけど、私の耳には何も届いてこなかった。
(ナニカガ――オカシイ?)
私はよろよろと立ち上がり階段を上り始める。後ろで良太が何か言ってる……。でもそれより確認しなければならないことがあるの。
私は階段を上り切ると、真っ直ぐ寝室に向かいベッドに無造作に置かれた私の携帯を拾い上げた。震えてうまく動かない指にイライラしながら携帯を開くと、そこにはメールを受信したことを知らせる文字が。
誰からきたのか、どんな内容なのか理解していたのかもしれない。でも違うかも、という考えを頭の端に浮かばせたままメールを開く。
【小織、どうだった?アタシって完璧でしょ♪ 次は小織の番だよ】
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