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「和美……?」
メールを開いた私は、いったい何が起こったのかまるで理解できていなかった。いや、理解したくなかったのだと思う。
どうだった? とはなんだろう……。
次は小織の番とはなんだろう……?
私がベッドの傍らに座り込んでいると、勢いよく階段を上がってくる足音がした。
「小織! どうしたんだよっ」
焦ったようにそう叫んだ良太は、力無く床に座り込んでいる私の肩を強く掴んで揺すった。私はあらぬ方を見つめたまま声を出す気も起きない。
孝史が死んだ。しかもあの遊びメールに和美が書いた通りの交通事故で。
それからこのメール。これはつまり、和美が実行したという証明なのだろうか? そして私に渉を殺せと言う意味なのかしら?
「……や」
「おい、小織?」
「い……や。嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌!」
突然叫び始めた私に驚いた良太は私を抱きしめて落ち着けと言い続けた。それでも私は止まらない。恐怖が止まらない。玄関に留まっていた警官は尋常ではないその空気に気付き、駆け足で階段を上がって来た。
「どうされましたっ!?」
そう警官が尋ねたところまで覚えているのだけど、正気を保てなかった私は「嫌」という言葉を叫び続けた――。
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