1.安藤 小織

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 気にはなるけど、それよりも最近ノイローゼ気味な私は良太以外の人と話すのも恐ろしくなってきている。これじゃいけないよね、ご近所付き合いもあるんだから。  幸い孝史は私以外には手を出さないようで、良太にもご近所さんにも何もしてはこない。夥しいファックスや電話、手紙はくるんだけど――。  そんなストーカー行為に気を取られないように、私には最近始めたことがある。それは携帯の、俗に言う“出会い系サイト”。  別に男性と会って何か、なんて恐ろしいことは考えていない。私は気軽に悩みを話せる、“女友達”が欲しかっただけなの。  学生時代の友達は私の悩みを聞かせられるほど親しくない。親友と呼べる相手がいないのだ。せめて“出会い系サイト”に同じように苦しんでいる人がいれば相談もできるけど、なかなか見つからない。 「今日も一段落ついたし、また探そうかな……」  私はそう呟いて二階への階段をゆっくりと上っていく。階段を上ってすぐ左側にあるのが私の部屋。反対側には良太の部屋があり、もう少し廊下を奥に行くと寝室がある。
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