1660人が本棚に入れています
本棚に追加
言えなかった。
自分の始めた遊び、それによる友人の変化、そして事件との類似……。
すべて話し終えた私に、畑野さんは上着の内ポケットから何かを取り出して見せた。
「それ、私の携帯です……」
私がそう呟くと畑野さんは
「やはりそうですよね」
と言って顔をしかめる。なんだろう、何か嫌な雰囲気が漂ってる。
「実は申し訳ないとは思ったのですがね、この携帯の中身を見せていただいたんですよ」
「――――!?」
見られた……、あのメールが。私は自分でも分かるくらいに冷や汗を流して震えていた。しかし私の意に反して、畑野さんの口からおかしなことを告げられる。
「電源を入れて発着信やメールの送受信。あとデータボックスとー、そうそう電話帳ね。全部見たんですけどなぁんにもないんですよ」
「……それってどういう?」
言っている意味がよく分からない。何もない?
「なんて言ったらいいかなぁ。つまりは、携帯を買ってきたばかりみたいな状態なんです」
畑野さんの言葉に良太が驚いている。もちろん私だって驚いてる。良太は畑野さんに許可をとって携帯をいじって確認したけど、本当に何もないらしい。
(どうして?)
最初のコメントを投稿しよう!