約束

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「透子?」 ああ、またいつもの夢だ・・。 夢の始まりは、 幸せでふわふわした気分だ。 ここでしか、逢えない人に、 逢えるから。 「なあに、晴くん。」 振り返り、彼を見上げる。 透子はいつの間にか、 9才の少女になっていた。 晴生(ハルキ)がいつものように、優しく微笑みながら、 透子の側にやってくる。 彼は透子の幼なじみであり、 同級生だ。 「いっしょに帰ろう。」 ここは小学校だ。 透子は机の前に座り、 帰り支度をしている。 「今日、私お当番だから、日誌書いて先生の所に持ってかないと。」 ランドセルに教科書を詰め込みながら、申し訳なさそうに言った。 「いいよ。待ってるから。 おれ、透子といっしょに帰りたいんだ。」 胸の辺りが、きゅん、となった。 嬉しくて。 幸せで。 晴生はいつもぶっきらぼうで、 他の人からは怖がられたりするのに、 透子にはいつでも優しいし、 たまにだけど、 透子を幸せな気持ちにさせる言葉をつぶやいたりする。
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