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本棚に追加「またね、透子。」
父が照れくさそうに、ボソッと言った。
「うん。お父さんも、おじいちゃんも体に気をつけてね。」
「ありがとね。」
祖父が目を潤ませて、何度も頷いている。
タクシーが静かに近づいてきた。
名残惜しい気持ちが一気に沸き上がり、透子は思わず父親の腕を掴んだ。
「お父さん、今度は…。」
「ああ、お前たちの家に行くよ。」
「…うん。」
父親に優しく微笑まれ、
透子は小さく頷いた。
ゆっくり父の腕から手を離し、
タクシーに乗り込む。
「元気でな。」
タクシーが動き出すと、
透子は後部座席から身を乗り出し、後ろの窓から、いつまでも、
父と祖父の姿が暗闇に溶け込んでしまうまで、見ていた。
見えなくなっても、同じ体勢で窓の外に目を向けていた。
目を他に移すのが、怖かった。
今日起こったことが、
夢のように消えてしまいそうで。
ふいにクイッと横から腕を引っ張られ、透子は我に返った。
聡が前の座席を指差す。
見ると、柊が早速眠りこけていた。
不定期に頭を揺らしている。
「車に乗って、まだ1、2分だよ。柊って寝つきが本当にいいよね。」
「…ほんと。」
透子は前を向いて座り直しながら、小さく笑った。
柊の揺れる後頭部を見ていたら、
透子も眠たくなってきた。
何度もあくびをする。
「透子も疲れたでしょ、今日は。」
「…ん…。」
本当に眠い。
意識が混沌としてくる。

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