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私、不思議野有栖(フシギノアリス)は、普通の学生だった。
一体何をもってして「普通」というのかは分からないけれども、とにかく私は「普通」だったと思う。人より知識があるわけでもなく、人より運動能力が秀でているわけでもなく。
どこかの小説や漫画や……その他諸々の主人公みたく、特殊な能力を持っているわけでもない。
英国人の祖母の輝くばかりの蜂蜜色の髪を受け継いだ以外はなんの取り柄もない、ただの一般庶民だった。
そしてそれは今も、これからも、ずっと変わらず続いてゆくものだと信じていた。
常に誰かの顔色を伺って。目立たぬように、突出せぬように。出る杭にならぬよう、そんなことにばかり気を遣う日々だった。
そんな、なぁんの面白味もない人生だと思ってた。
実際、そうだった。
ただ唯一、私が高校生のときに体験したあの思い出以外は。
(I need you.)
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