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鏡の前に立ち、髪を結いあげている時、いつも思う。
──この蜂蜜色の髪さえなければ完全に諦めきれたのに、と。
少しは増えてきたとはいえ、この国ではまだまだ黒以外は珍しい。だから勘違いをしてしまう。
「──よし」
普段はおろしている髪を今日はポニーテールに結う。それから少しだけ急いでご飯をたべ、8時には家を出発して学校へ向かう。
のんびり行くからいつも始業ギリギリだ。別にそれで良いと思ってるし、変えようとも思わない。
なぜならそれが私の『普通』だから。一生懸命に生きるなんてバカみたい。誰かにあわせるなんて本当に無駄。自分勝手に気ままに生きていられたら、って思う。
出来ないから困っている。だからこんな些細なワガママくらい許して欲しい。
学校でも私は普通だ。
目立たないよう心掛けているから。朝のソレ以外私には問題なんかないし(多分ソレが一番目立ってるかも)、目立つところもない。
教師も友達もみぃんな、私が朝弱いだけだと思ってる。
当たり前の日常となってしまったから、「ああ、またか」と笑って流す。
それで良い。間違った理解をしていてもそれで良い。その方が楽だから。別に誰も私を理解してなんか言ってない。
だって、本当の理由を言っても誰も理解してくれないし。
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