このセカイ。

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 問題を起こさず学校生活を終えたら、後は短い放課後だ。一応私は文芸部に所属している。  別に帰宅部でも良かったのだけれど、それでは教師ウケがあまりよろしくない。「部活には入らないのか?」等の余計な心配をされてしまう。小市民は『目立たない』部活にちゃんと所属することも必要なのだ。  私の学校だったら一番ダメなのは演劇部。全国的にもすごく有名なくらいだから、『演劇部所属』というだけで目立ってしまうのだ。  その点、文芸部は言うことなし。そしてスゴくいい加減な部活だから──まぁ、だから入ったとも言えるけど──こっちもいい加減に行ったりサボったりしている。  しかし、部活は意外と『好き』な時間だ。部室は唯一の『好き』な場所だ。  なら何故サボるのか?  私が『好き』なのは、部活ののんびりした空気。  部室のゆったりした雰囲気。  決して部活の活動が好きで好きでたまらない訳じゃない。ただ、羽を休めにいくだけだ。そこを勘違いしないで欲しい。 「―――――」  シン、とした静寂。時たま聞こえる本のページをめくる音。それが部室いっぱいに広がる。でも、静かだ。  私は何をするでもなく、ぼんやりと校庭の片隅を眺めていた。ぼうっとするのは楽でいい。  憩いの放課後、部活を終えて、私は家へ帰って行く。そのあと適当に予習して復習して寝る。これで、私の1日は終わり。
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