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「ここに来た時みたいに、飛んで帰ればいいじゃんよ」
ふと、アイラは思い付いたように言う。
神様なんだから、それくらいできてほしいところだ。
「…それが…」
神妙な顔でうつ向くヘスティア。
「それが…?」
何かあるのだろうか?
力を封印されてるとか…。
「その…ここに来るために、全ての力を使ってしまったんです」
「アホかぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
間抜けな返答に、アイラはおもいっきりヘスティアの首を掴み揺すぶった。
「節約して使えよ節約!!」
「く、苦しいですぅ~」
アイラは泣きたくなってきた。
そりゃ、こんなんが守護神なら都も滅びるわけだ…。
「ふぅ…。どっちにしろお断り。ここからダウィス島は遠いんだから。旅するにゃ金だってかかるし。それに…」
外には、あまり出たくない。
旅をするなら、どうしても人間の街を利用することになる。
それが…耐えられない。
そして――。
「…確かに、わたくしは旅費をお払いすることもできません。…ですが、ガイアの城が残されているなら、そこには宝物庫がありますわ。あの部屋は、どんな衝撃にも耐えられるようになっています。…だから…」
宝物庫…の言葉で、アイラの耳はダンボになった。
目がキラリと光る。
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