第1章 空から舞い降りた女神②

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長い廊下を歩いていた。   沢山の窓にはステンドグラスが施され、さしこむ光は七色に輝く。   白亜の大理石の上。   知ってる…。   この廊下を、私は知っている…。   漠然と感じる自分がどこかにいる。   朦朧とした意識の中、幾人もの自分がいるような錯覚。   ――ああ、そうか…   これは夢なんだ。   夢の中のアイラは、黒い甲冑を着込み、悠然と歩く。   「アテナ様!」   それは自分の名前ではない。   それでも、夢の中のアイラは振り向いた。   振り向いた先には、鮮やかなピンクの髪、灰色の人懐っこい瞳を持つ…ヘスティアがいる。   「また、魔物討伐ですか?」 「まぁね…。今回のはどうにも厄介だってんで、わざわざ私が出向くことになったのよ」 「最近魔物が増える一方ですわ…」   当たり前のように会話を交わす。   全然知らない…それでもどこか懐かしい映像。   「アテナ様、どうかお気をつけて」 「誰に言ってんの?」   不敵に微笑み、その場を立ち去るアイラ。   後に響くのは、甲冑の擦れる音と、力強い足音だけ…。
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