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天に召された両親を想いながら、アイラは頭を抱えて倒れこんだ。
が…想像していた衝撃は来ない。
代わりに、聞きなれない声が耳に響く。
「…様!…ナ様!」
(あっは~。そーか、死ぬ時って痛みがないもんなのか~。あー…天使が耳元でささやいてる~)
「あの…アテナ様!」
(天使が人の名前間違えるなよ~…)
「アテナ様!しっかりなさってください!」
肩を揺さぶられる感覚。
これは明らかに幻覚ではなかった。
――生きてる…?
恐る恐る顔をあげると、まず目に入ったのは見知らぬ女の顔だった。
随分古くさいデザインの服を着ている。
鮮やかなピンクの髪につけている飾りも、デザインが骨董品のようだ。
「アテナ様!あぁ…やっとお会いすることができましたわ!」
灰色の瞳をうるませ、その女性は勢いよくアイラに抱きついた。
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