🌸千本桜🌸

1984年4月４日.

1984年4月4日午後6時36分。
僕は
熊本市の
慈恵病院（赤ちゃん🏣で話題✋）
にて
大きな産声をあげた。
父は町役場に勤める公務員。
母は保育士。

我が家で待つ
家族。
５つの兄は受話器越しの産声に感激し、なかなか受話器を離さなかった。
小学校入学を待つ姉はそんな弟を見てイライラしたという。
この二人は
誰がなんと言おうと父親にそっくりだ。特に姉は
道を歩いてたら
「○○さんの娘さんだろ？」と
声をかけられるほど。
それは彼女が30になる今日まで続く。

彼女は丈夫さが一番のとりえだった。
一方兄は
産まれたすぐに黄疸がでて、未熟児で、母乳をなかなか飲まなかった。
しばらくして医師に「小児マヒのおそれがある。ほっておいたら車椅子の生活になるでしょう。」と宣告された。
両親は慌てて施設にいき、ﾎﾞｲﾀ式訓練法を習い、
毎日祖母と父で実践したという。（母は仕事のため育休があまり普及していなかった当時、昼間は実母に我が子を預けていた。）
やがて兄は母乳をぐいぐい飲みだし、そして首も座り、やがて何事もなかったかのようにチャリンコ暴走族になった。

五年ぶりの出産。新しい家族。
母は病室から見える満開の桜を見て、
産まれたてのぼくに「桜子ちゃん」
と呼びかけた。
三人目にしてやっと母親に似た顔立ち。それもそのはず。妊娠が判ってからは常に「今度こそ私に似た子を…」と半ば怨念のごとく祈っていた母である。

その頃
父は（いつものごとく）自宅にて
「寛子」
「喜代」
の二つで悩んでいた。
何を思ったか、その二者択一を
わずか六歳の姉に託した。
姉は自分の名前にない
「○子」
に憧れ、
「ひろこがいい。」と言った。

この日生まれた
工藤家の次女は
寛子と名付けられた。（一部で桜子）