「何それ?美味しいの?」

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 今俺の手の中にある塊は、一見して何であるのかわからない、奇妙な色合いを持っていた。    見る角度を少し変える度に、鉄のような鈍い銀色から緑銀色、赤や青い粒子を含んだ黒っぽい色まで、まさに変幻自在な色の変化を見せていた。   「まぁ、色々混ぜたからねぇ」    しげしげと塊を眺めていた俺に、アーサーはあっけらかんと言い放った。   「色々って……。お前、一体何を混ぜたんだ?」    その言葉に、一度は消えた怪しい光がアーサーの目に再び宿るのを、俺は見た。   「……知りたい?」    アーサーの口元がニヤリとつり上がるのを見て、俺は反射的に   「いや、やっぱいい」    そう答えて、目線を床のガラス片に落とし込んだ。  こいつがこんな顔をしている時は深く踏み込まない方がいい。  成績は人並みな俺でも、長年の付き合いからそれくらいは学習できる程度の記憶力は持ち合わせているつもりだし。    何より、こいつから学んだ数少ない教訓だ。   「そう?まぁ、これ以上頭叩かれて、貴重な脳細胞減らされるのもアレだし」    お?  珍しくアッサリ引き下がったな。  とはいえ『触らぬ神に祟りなし』。  昔の人は、ホント良いこと言ったもんだ。   「…………」    というか、俺に叩かれるのが前提になる程のもんが入ってるのか、これ。  その事に気付いた瞬間、イヤな汗が全身から吹き出すのを感じた。   「……放射能とか、出さないよな?」  
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