「何それ?美味しいの?」

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と、その時だった。  背後から右肩に何かが乗せられ、それが誰かの手だと直感的に理解するのに0,3秒。   「まぁまぁ、そのくらいにしてあげなよ」    という、同じく背後から聞こえてきた声が聞き覚えがある声であることに気づき、その声の主の正体を記憶から引っ張り上げるのに0,1秒。    背後へと首だけ振り向いて、そこにある顔を視界に写すのに、0,03秒。   「…………」    そこに居るのが、襟元捕まえてたはずのアーサーであることを理解するのに、0,0001秒。   「何でお前が後ろに居るんだっ!!」    そう、そこにはアーサーが平然と佇んでいた。   「忍法、変わり身の術!!」    そんな事を言いながら、アーサーはしたり顔で、両手を組んで印を結んだポーズ。  慌てて、今自分が襟元を掴んでいる物体を見ると   「マネキン……!?」    無表情なその顔の額には、ご丁寧にも「偽アーサー」と書いてあった。  
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