「何それ?美味しいの?」

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すると、   「ガイガー・カウンター!!」    どこぞの四次元ロボットの真似をして、アーサーは答えた。   「ガイガー・カウンター?」    耳慣れない言葉に、俺は首を傾げる。  一瞬頭の隅に「勇者王」の三文字が浮かんだのは内緒だ。   「そ」    短く肯定すると、アーサーは何やらガチャガチャとその機械の準備を始めた。   「それで放射線が出てるかどうかわかるのか?」 「まぁねん」    アーサーは得意気に、鼻歌混じりでそのガイガー・カウンターなるものを組み立てていく。   「そんなもん、どこで手に入れたんだよ」    俺のその言葉に、アーサーは顔だけでこちらに一度振り返り、意味ありげな笑みをニヤリと浮かべてから、再びガイガー・カウンターへと向き直る。   「ちょ、それはどういう意味の笑みだ!?」 「自分で作りました~☆」 「は!?」    予想外な、いや、頭の片隅では「もしかして」と思っていた言葉に、俺は驚きを隠せない。    バカと天才は紙一重。  今その紙一重分の厚さしかない領域にいる奴が目の前にいる事に、俺は何とも言えない、ただし、その中の『何か釈然としない』という成分だけは理解できた。   「よし、これでOK!!じゃあ勇介、それここに置いてみて」 「あ、あぁ」    釈然としないまま、俺はアーサーに言われるがままに、謎の塊をこれまた謎の筒の前に置いた。   「じゃあ、スイッチ入れるよ?音が鳴ったらアウトだから♪」 「アウトってお前!!」 「まぁまぁ」    再び声をあげる俺をなだめるように、アーサーはスイッチに伸ばしていた手を離し、俺の肩にポンと乗せた。
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