554人が本棚に入れています
本棚に追加
すると、
「ガイガー・カウンター!!」
どこぞの四次元ロボットの真似をして、アーサーは答えた。
「ガイガー・カウンター?」
耳慣れない言葉に、俺は首を傾げる。
一瞬頭の隅に「勇者王」の三文字が浮かんだのは内緒だ。
「そ」
短く肯定すると、アーサーは何やらガチャガチャとその機械の準備を始めた。
「それで放射線が出てるかどうかわかるのか?」
「まぁねん」
アーサーは得意気に、鼻歌混じりでそのガイガー・カウンターなるものを組み立てていく。
「そんなもん、どこで手に入れたんだよ」
俺のその言葉に、アーサーは顔だけでこちらに一度振り返り、意味ありげな笑みをニヤリと浮かべてから、再びガイガー・カウンターへと向き直る。
「ちょ、それはどういう意味の笑みだ!?」
「自分で作りました~☆」
「は!?」
予想外な、いや、頭の片隅では「もしかして」と思っていた言葉に、俺は驚きを隠せない。
バカと天才は紙一重。
今その紙一重分の厚さしかない領域にいる奴が目の前にいる事に、俺は何とも言えない、ただし、その中の『何か釈然としない』という成分だけは理解できた。
「よし、これでOK!!じゃあ勇介、それここに置いてみて」
「あ、あぁ」
釈然としないまま、俺はアーサーに言われるがままに、謎の塊をこれまた謎の筒の前に置いた。
「じゃあ、スイッチ入れるよ?音が鳴ったらアウトだから♪」
「アウトってお前!!」
「まぁまぁ」
再び声をあげる俺をなだめるように、アーサーはスイッチに伸ばしていた手を離し、俺の肩にポンと乗せた。
最初のコメントを投稿しよう!