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「諦めって、大事だよね」
「そんな事清々しく言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
叫び声を挙げながら、俺は思いっきり振りかぶっり、ラリアットを振り抜いた。
「おおっと!!」
それを避けたアーサーは、反射的に机に手を付き、
「「あ」」
カチッ☆
そんな音と共に、ガイガー・カウンターのスイッチが入ってしまった。
しかし、
「……静か、だな?」
「だね」
スイッチを入れられたガイガー・カウンターは別に何の音も起こさず、ただそこに在るだけだった。
「どうやら、心配なさそうだね?」
そう言って、アーサーはガイガー・カウンターのメーターに目をやる。
俺もそれにつられて覗き込むが、赤く細い針は「0」を指したままで、微動だにしない。
「全く、脅かしやがって」
それを確認した上で、俺は安堵の息を漏らす。
これまでにも、こいつのせいであれこれとヒドい目に遭ってきたが、今回ばかりは流石にシャレにならない事になるところだった。
本当に、安心した。
「まぁ、俺は大丈夫だと思ってたけどね」
こいつはよくもまぁぬけぬけと。
「だって、放射能なんか出てたら俺まで大変な事になっちゃうじゃん」
「まぁ、それはそうだが」
もう箒を再び手に取る気も起きず、俺はパイプイスに腰を落とした。
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