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「ま、勇介がどんな目に遭おうと、俺だけは絶対大丈夫って状況じゃないと、俺は動かないよ」
「ほんっとにお前は!!」
と声をあげて再び立ち上がろうとしたが、
「はぁ……、もういいや」
俺はやっぱりイスから立ち上がるのを止めた。
正直、安堵感と疲労感で、もうどうでもよくなっていたのだ。
「まぁ、そんなに怒らないでよ。これ、あげるからさ」
そう言って、アーサーは再び謎の塊をこちらへ投げてよこした。
「おっと」
それを俺は難なくキャッチ。
手の中の塊は、相変わらず奇妙で綺麗な色を見せていた。
「いいのか?」
「目的のオリハルコンじゃないみたいだし、オリハルコンじゃないなら俺にとっては、単なる石だし」
宝石でもなさそうだしと付け加えて、アーサーは苦笑いを一つ。
「そうか?じゃあ捨てるのも何か勿体無いし、お前がいらんなら預かっとく」
そう答えながら、俺は謎の塊をジーンズのポケットにしまい込んだ。
「さて、と。じゃあ、片付けて帰りますか」
「やっとその気になったか……」
アーサーが、机の上に放置されたガイガー・カウンターのコンセントを引き抜くのを見て、俺も床に放り出した箒に手を伸ばした……、
その時だった。
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