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「あぁ、あったあった」
そういってアーサーが差し出したのは一本のゲームソフト。
そのケースには、剣を持った少年とその仲間達らしき一行が、各々の武器を手に周囲を警戒している絵が描かれていた。
「何これ?ロープレ?」
「そう、RPG。いわゆるロープレ」
俺の答えに対して満足げにアーサーは頷いた。
「悪いが、俺の専門はロボットアクションだ」
「そりゃあ大変だ!!RPGをやらないなんて、人生の十割損してるぞ!!」
「ロープレやってないってだけで、俺の人生全否定すんなっ!!」
一応突っ込みだけ入れてから、俺は床の掃除を再開しようとして、ふとあることに気がついた。
「ところでそれ、熱くなかったのか?」
つい先刻まで、ボコボコと沸騰していたフラスコの中にあったはずの塊を、アーサーは机に置くまでの間、確かにしっかと摘んでいた。
しかし、熱がっている様子もなかったのだ。
「ふむ。確かに熱くなかったな」
今頃気付いたのかよ。
「確かに熱くないのは奇妙だが、見た目通りの重さだし、どちらにしろオリハルコン精製は失敗だろうね」
そう言ってアーサーは再び塊を手に取り、無造作にこちらへと放った。
「うわっと」
突然投げられた塊を、俺は慌ててキャッチする。
確かに熱くない。
「確かに『伝説の金属~』なんて感じじゃないな。奇妙な色してるけど」
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