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別れ
7月の晴れた、暑い日だった。蝉が泣いている。女性の部屋には、風鈴があった。綺麗な音を出している。
女性の顔には、酸素マスクがつけられている。沢山の機械…
彼女を囲む様に家族がすすり泣いていた。
『お姉ちゃん…もう頑張らなくて、良いよ。来世もお母さんの娘で産まれて来てね。絶対だよ。』母親が泣きながら大粒の涙を流した。
『良く頑張ったな。』父親も泣きながら、女性を抱きしめていた。その後ろで弟が声もださずに泣いていた。
一人の男性が部屋に駆け込んで来た。男性は、女性の体を抱きしめていた。
女性は、彼を待っていたかの様に…静かに息を引き取った…。
病室に叫び声が響いていた。
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