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とある夏の午後4時頃。ここ久井山で、4人の若い青年が山を降りようと険しい山道を歩いていた。いや、正確には遭難していた。
「なぁ、まだ着かないの?一体何分歩いた?いやしかしこれうまいなぁ。」
そうスナック菓子を食べながら言うのは瞬だ。
「まだ10分しか歩いてねぇよ。つーかこの遭難という非常事態にお前は何やってんだよ。」
そう邦雄が言うと瞬は
「スナック菓子食べてんじゃん。言っとくけどあげないからね。」
とさらっと言った。
「だから太るんだよ瞬は。せっかく瞬という速そうな名前持ってんのに足遅いしデブだし…」
一が言うように瞬は太っていた。足は別に普通なのだが腹が出ていていわゆる外国人体型なのだ。
そして瞬は
「早口言葉を速く言えるから足遅くてもいんだよ。」
と言った。それを聞いて一と邦雄は同時に呆れた。
「お前のは早口言葉じゃなくてただ適当に言葉を発しているだけだろ。何しゃべってんのかだれひとりわかりやしない。」
「それは君達が僕のレベルについてこれてないのさ」
それを聞いて一と邦雄の二人はこれ以上何か言うとめんどくさそうなので何も言わないようにした。
そして一は先程からずっと落ち込んでいる隆史に声をかけた。
「なぁ隆史。まだ落ち込んでんのか?別に遭難したのは隆史のせいじゃないんだから元気出しなよ。」
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