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「で、でもあの時俺がちゃんと持っていれば…」
隆史は一が優しく声をかけてもまだ落ち込んでいた。
隆史が落ち込むのには理由があった。
遡ること約7時間前…
この日の朝に邦雄の車で4人はこの山の麓にやって来た。
この山は人の手によって整備されてはなく麓はまるで樹海のように樹木が多く、迷いそうな感じの山なのだ。
だが幸いにもコンパスは使うことができた。
山の麓の始めから斜面の所にたどり着くまで時間がかかるので、頂上まで行くのに結構手間取ったのだが、特に何事もなく登り、そこでみんなで持ってきた昼飯を食べて降りてきたのだ。
だが約一時間前、コンパスを持っていた隆史が足を滑らしたのか転んでしまい、幸い隆史にたいした怪我は無かったもののコンパスがどこかにいってしまったのだ。
隆史以外にはコンパスはこの日に限って持っていなく、そのために彼らは遭難してしまったのだ。
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